すり減ったり古くなったりした冬タイヤを夏に履きつぶすことについては、賛成派と反対派の二つの意見に分かれています。
それぞれの見解にはそれぞれの根拠がありますので、理由を見比べて自分の車の利用状況などに合わせた選択をするといいですね。
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冬タイヤの履きつぶしがダメではない理由
冬道以外での冬タイヤの性能は、夏タイヤに比べてほぼ全てにおいて劣るのは事実です。
具体的にどのくらい劣るかについては後述しますが、実際的には冬タイヤを履きつぶしている人も少なくないわけで私も経験があります、というか今まさに履きつぶし中でした。笑
実際に夏場に走ってみると、スタッドレスタイヤはゴムが柔らかくて細かい溝が多いので、夏タイヤより踏ん張り感がないというか腰砕け感があります。
それからゴーというような(タイヤのパターンなどによって音の感じは変わると思いますが)走行音が多めです。
我が家の場合は街乗りがほとんどなので、タイヤの性能の差を感じることはあまりありません。
冬タイヤの履きつぶしで、最も気を付けなければならないのは雨の高速道路ですが、高速自体ほとんど使うことがないんですよね。
スタッドレスタイヤには溝の摩耗を知らせるサインが2段階あります。
冬タイヤとしての限界を知らせるプラットフォームと、タイヤとしての限界を知らせるスリップサインです。
タイヤの残り溝が半分になるとプラットフォームと呼ばれるものが溝の中から現れます。
プラットフォームとは
プラットフォームが出てきたタイヤはスタッドレスタイヤとしては使えないので、夏タイヤ(の代わり)として使うか、捨てることになりますね。
夏場に使用されることも考慮されて製造されているということになりますし、実際に残り溝1.6㎜を示すスリップサインが出ていなければ車検も通ります。
そういう意味では、冬タイヤを履きつぶしてもダメではないのです。
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冬タイヤの履きつぶしが危険だという理由
しかし冬タイヤの履きつぶしが危険だということにも根拠はあります。
例えばJAFが行ったブレーキテストの結果によれば、時速60㎞からフルブレーキをかけた場合、乾いた路面・濡れた路面での新品夏タイヤの制動距離がそれぞれ17.0m・16.7mだったのに対し、プラットフォームの出たスタッドレスタイヤでは18.8m・20.3mでした。
これが時速100㎞になると夏タイヤだとそれぞれ47.5m・47.6mで、路面が乾いていても濡れていてもあまり変わらなかったことに対して、スタッドレスタイヤでは51.1m・72.2mと、20m以上も制動距離が伸びてしまっています。
さらに曲がりながらのブレーキでは、濡れた路面でのスタッドレスタイヤは大きく外にふくらんでしまうという結果が出ていました。
JAFユーザーテスト
スタッドレスタイヤは夏タイヤに比べると、特に濡れた路面では止まる・曲がるの性能が劣ることがわかります。
極端な例かもしれませんが、たとえば雨の高速道路で落下物を発見したとき、ブレーキをかけてから車が停止するまで20m以上も差があったら、ぶつかるかぶつからないかの差となって現れるかもしれませんね。
冬タイヤ履きつぶしについてのまとめ
当然のことではありますが、冬道以外での冬タイヤは夏タイヤと比べれば性能は劣ります。
安全性や快適性を重視するのなら、冬タイヤの履きつぶしは適していません。
特に雨の高速道路では危険度が増します。
スピードが出ていなければそんなに大きな差はないのですが、全くないわけでもありません。
例え性能的に1mの差だったとしても、「あと数センチ早く止まれていれば…」というような状況もあり得ることから、もしものことを考えれば冬タイヤの履きつぶしを公然とおすすめすることはできないでしょう。
ただ、まだ使えるタイヤを捨てることが経済的・環境的にどうなのか、という点が気になるところです。
現実問題としては車の使用状況を考慮して、安全性と経済性のバランスで選択することになりますね。
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