野菜などに含まれるビタミン等の栄養素には、熱によって壊れてしまうものがありますよね。
血液サラサラ効果があることでよく知られている玉ねぎも、加熱することで栄養や効果が変化してしまうのでしょうか。
実は玉ねぎの成分によっては確かに熱によって変化してしまうのですが、ナント加熱によってさらに効果がアップするものもあるのです。
今回は玉ねぎを加熱したときの影響や、玉ねぎの効果的な食べ方などをご紹介します。
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玉ねぎは加熱すると栄養成分が変化する
玉ねぎ特有の栄養素には硫化アリルと、ポリフェノールの一種であるケルセチンがあります。
玉ねぎの辛み成分であり、玉ねぎを切ったときに目が痛くなる犯人でもある硫化アリルは、玉ねぎ以外にも長ネギやニンニク、ニラなどのユリ科の植物に含まれている成分です。
硫化アリルには活性酸素を消し去る働きがあるので、がん発生を抑制する効果があり、また強い抗菌力で胃腸炎などにも効果があります。
そしてよく知られているのが血液サラサラ効果です。
心配なのは料理のときに加熱することでこれらの効果が無くなってしまわないのかということですが、まず硫化アリルは空気にさらしたり加熱したりすることによってトリスルフィドという成分に変化します。
トリスルフィドになると中性脂肪やコレステロール値を下げる力がアップするので、血液サラサラ効果がレベルアップ!
そしてさらに加熱するとセパエンという成分に変化するのですが、セパエンになることで血液サラサラ効果もさらにレベルアップします。
玉ねぎを加熱しても、血液サラサラ効果は減るどころか、ますます強くなるのです。
ところでもう一つの玉ねぎ特有の栄養素、ケルセチンはどうなのでしょうか。
玉ねぎを加熱しても血液サラサラ効果はなくならない
もう一つの玉ねぎ特有成分のケルセチンにも高い抗酸化作用があり、美肌効果、病気予防、そしてダイエット効果などが期待されています。
その他にも血管をしなやかで丈夫にする効果、高血圧予防、動脈硬化予防、悪玉コレステロール値を下げる、脂肪吸収の抑制、そしてアレルギー反応の緩和など、血液サラサラ効果のみならず、生活習慣病予防やアンチエイジングにも働きかけるという、効果満載の成分なのです。
うれしいことにこのケルセチンは熱に強いので、料理での加熱ではほとんど壊れないという特徴があります。
つまりケルセチンは加熱しても変化がなく、そして硫化アリルは加熱してトリスルフィド、さらにセパエンへと変化していくとさらに効果が高くなるということなので、玉ねぎは加熱しても血液サラサラ効果が上がることはあっても下がることはないということですね。
玉ねぎの辛み成分である硫化アリルがトリスルフィドやセパエンに変化することで、玉ねぎの辛みが減少するので、今度は玉ねぎがもっている甘味を強く感じられるようになります。
玉ねぎは熱することで食べやすくなり、また多く食べたときの胃腸への刺激もマイルドになり、そしてさらには口臭や体臭への影響防止にもなるというメリットもありました。
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玉ねぎは加熱すると体臭への影響が少なくなる
玉ねぎは加熱すると、より血液サラサラ効果が高くなるということでしたが、加熱によるメリットがもう一つあります。
玉ねぎに限らずニオイの強いモノを食べると、体に吸収されたニオイ成分が血液によって体中に運ばれることによって、体臭にニオイが付いてしまうことがありますね。
玉ねぎのニオイ成分といえば硫化アリルです。
硫化アリルは熱を加えるとトリスルフィドに、そしてセパエンになるんでしたね。
そうなると生玉ねぎ独特のニオイはしなくなってきますので、体臭への影響も少なくなります。
だから玉ねぎは加熱すると口臭や体臭をクサくする原因成分が少なくなっていき、さらに刺激が少なくなることで食べすぎたときの胃腸への負担も少なくなり、そして血液はよりサラサラになるということで、一石二鳥にも三鳥にもなるんですね。
玉ねぎの栄養効果のおさらい
硫化アリル
抗菌効果と殺菌効果
・肝細胞の解毒作用を助けてデトックス効果があります。・抗酸化作用と合わせてがんの予防に効果があります。
血液サラサラ効果
・血栓を予防する効果があるので脳梗塞・脳卒中・心筋梗塞・狭心症、そして動脈硬化の予防に役立ちます。血液中の余分な糖を減らす
・糖尿病の予防と改善の効果があります。血液中の余分な脂肪を減らす
・中性脂肪を減らす効果と悪玉コレステロール値を下げる効果があります。疲労回復効果
・硫化アリルの一種であるアリシンは、人間の体内で水溶性のビタミンB1(チアミン)と結合することによって、疲労回復効果があるアリチアミンという脂溶性の物質になります。血行促進
・血行を良くするので冷え性の改善や、風邪の緩和に効果があります。これらの効果のうち、血糖値を下げる効果だけは生で食べた方が効果が大きいと言われています。
特に糖尿病の予防効果だけを最大限に期待するなら生で食べた方が良いでしょう。
逆に中性脂肪やコレステロールを下げる効果は加熱した方が高まります。
また硫化アリルは加熱するとトリスルフィドを経てセパエンに変化しますが、セパエンには高い学習記憶障害改善作用があり、脳内にある海馬という記憶をつかさどる部分の酸化も抑えることが確認されています。
体中の血行を良くし、そして酸化を防いでくれる成分が玉ねぎには含まれているわけですね。
ケルセチン
高い抗酸化作用
・細胞を酸化してしまう活性酸素の働きを抑えることで、病気予防や美肌効果につながります。生活習慣病の予防
・悪玉コレステロール値を下げ、動脈硬化や高血圧を予防します。・脂肪の吸収を穏やかにします。
・アレルギー反応を緩和します。
血管をしなやかにする
・色々な種類があるポリフェノールの中のひとつであるフラボノイドに属するケルセチンは、ビタミンと似た働きをするビタミンPとも呼ばれる成分です。ビタミンCの働きを助けて血管をしなやかで強くします。
玉ねぎはその他にも、整腸作用がある食物繊維やオリゴ糖などを含んでいて、さらに体内から余分な塩分を追いだしてくれて、血圧も抑えてくれる働きがあるカリウムも含んでいる優れた食材です。
玉ねぎの効果的な食べ方
玉ねぎがもっている疲労回復効果は、ビタミンB1を多く含む食品と一緒に食べることで発揮します。
先ほども述べたようにビタミンB1は水溶性なので、尿と一緒に体外へ排出されることから長く体内にとどまれないビタミンなのです。
それが硫化アリルと合体することで脂溶性のアリチアミンになり、血液の中でビタミンB1と同じ働きが長く続くようになります。
ビタミンB1が欠乏すると食欲不振や消化不良、便秘、倦怠感、浮腫、脚気などの症状が現れるのですが、アリチアミンの働きによってビタミンB1不足が解消されることで、食欲促進、疲労回復、ストレス解消などの効果があります。
ビタミンB1を多く含むといえば豚肉。
豚肉は生姜焼きに代表されるように、よく玉ねぎと合わせた料理に使われていますよね。
アリチアミンもケルセチンも脂溶性で油に溶けるので、炒め物は熱+油で吸収力がバツグンです。
なお玉ねぎを炒める前に、玉ねぎを切って20分から1時間くらい空気にさらしておくと加熱に強い成分に変化するので、早めに切っておいて放置しておくと良いでしょう。
ビタミンB1は豚肉の他に、うなぎや鮭、カツオ、レバー、豆類などに多く含まれています。
だからカツオのたたきに玉ねぎの付け合わせという組み合わせは、魚の臭み消しだけではなく、栄養効果を高める効果もあるので合理的ですね。
玉ねぎを生で使う場合は辛みが強いので水にさらしてから使うと思いますが、硫化アリルは水に溶け出てしまうので、さらす時間は長過ぎないようにしましょう。
スープなどの汁物や煮物、鍋料理など、玉ねぎを煮て使う料理は、栄養成分が溶け出た汁も飲むことができるので無駄がありません。
まとめ
玉ねぎ特有の栄養成分である硫化アリルとケルセチンは、どちらも抗酸化作用があって、体を錆びさせるという活性酸素を抑える働きがあります。
これががんの予防やアレルギーの抑制、アンチエイジングなどにつながるのですね。
そして血液をサラサラにする効果も、加熱することで失われることはありません。
玉ねぎは加熱しても栄養が無くならず、効果によっては向上しますし、特有の刺激は減少するのでたくさん食べたときの胃腸への負担も減り、また体臭や口臭の防止にもなるので、トータルで考えると加熱調理が優れていると思われます。
ちなみに北海道産の玉ねぎには、本州産の玉ねぎよりも多くのケルセチンが含まれているそうです。
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