皮脂などを好むカビの一種・マラセチアは、犬の皮膚にすんでいる常在菌で、普段は特に悪さはしません。
ところが健康状態が悪くなって免疫力が低下したときなどに、マラセチアの好きな皮脂が過剰分泌されたりすると、マラセチアが増えすぎることによってマラセチア皮膚炎をおこします。
マラセチア皮膚炎になると強いかゆみや脱毛などが発生するのでかわいそうなのですが、さらに心配なのが人間にマラセチアがうつるのかどうかということです。
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犬のマラセチア
マラセチアによって皮膚炎を起こした犬は、強いかゆみやフケ、ベタツキの発生、そして皮膚が赤くなったり黒ずんだり、脱毛したりするのが特徴です。
部分的に発症する場合も、全身的に発症する場合もあり、また多くの場合に独特な悪臭がしてきます。
マラセチア皮膚炎になりやすい犬種は、ビーグル、チワワ、コッカー・スパニエル、、プードル、ダックスフンド、ミニチュア・シュナウザー、ボクサー、ウェストハイランド・ホワイト・テリア、シーズー、フレンチブルドッグ、パグなどです。
耳が垂れている犬や、シワが多い犬の場合、フケやアカがたまりやすいので、マラセチアが増えやすい環境になりがちだといわれています。
マラセチアと人間
マラセチアは人間の皮膚の常在菌でもあります。
犬の場合と同じように、普段は特に悪さをしないのですが、体調不良などによる免疫力低下、ストレスによる皮脂分泌過多になるなど、皮膚の健康バランスが崩れたときに、身体ニキビとも呼ばれるマラセチア毛包炎などを発症することがあるのです。
マラセチアは胸元や背中など、身体の毛穴で増殖することが多いのですが、頭皮で増えすぎたときには脂漏性脱毛症を引き起こす原因ともなります。
さらに人間の場合、マラセチアがアトピー性皮膚炎を悪化させる要因にもなっているという報告が出ているので、本当に迷惑なヤツですね。
しかも普通のアクネ菌によるニキビと違って、マラセチアは自然治癒することが難しいので、アヤシイと思ったら迷わず皮膚科を受診しましょう。
http://irohanihohe.com/1021.html
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犬のマラセチアはうつる?
マラセチアには種類がいくつかあって、犬猫に存在しているのはMalassezia pachydermatisという種類です。
一方、人間の皮膚には、マラセチア毛包炎に関与するM.restricta、M.globosa、M.sympodialis、M.furfur、M.dermatisを含む9種類のマラセチアが常在しています。
これまで犬と人間では、常在しているマラセチアの種類が違うので、一般的に犬から人間へマラセチアがうつることで悪さをすることはないといわれていました。
しかし東京都健康安全研究センターと健康安全部環境衛生課動物管理係及び動物愛護相談センターとの共同調査では、犬の皮膚から人間に常在している菌種のマラセチアが検出されていて、犬と人間との間でマラセチアなどによる真菌症の相互感染の拡大が懸念されています。
東京都感染症情報センター » 動物における真菌保有状況
まとめ
犬の皮膚にも人間の皮膚にも、マラセチアというカビ菌は常在しています。
そしてどちらも異常に増殖すると、皮膚炎の原因となるのです。
基本的に犬と人間では常在しているマラセチアの菌種が違うのですが、濃厚接触などによって相互にうつる可能性が指摘されています。
今のところ必要以上に心配しなくてもいいようですが、犬に触れた後の手洗いは徹底しておいた方が良いでしょう。
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